1923年創業 家族経営ワイナリー
1923年、初代三澤長太郎が山梨県勝沼町に創業し、発売した「長太郎印葡萄酒」が私たちの始まりです。創業年に生まれた欅の木が醸造所の屋根よりも高く成長し、絶えず私たちのワイン造りを見守ってくれています。

3代目社主は、家業に戻る以前は銀行家でした。勤勉だった三澤一雄は、東京商科大学(現・一橋大学)に一年早く入学すると、卒業後は日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)の神戸支店に勤め、日本の財界の指導的な役割も担った中山素平氏を始めとする上司に社会人としての手ほどきを受けました。その中で、ワインに対しても明確なイメージを持ち、家業に戻った後、1953年に中央葡萄酒株式会社を設立、ワインに「GRACE」と名付けました。

「Grace」はギリシャ神話の三美神”Three Graces”に由来します。当時、甲州はまだヴィニフェラ(ワイン用ブドウ)に属するとは解析されていませんでしたが、三澤一雄は「高貴な香り」として甲州を重んじました。今も3代目社主が手掛けたGRACE第一号「GRACE 1957」がワイナリーに眠っています。

また、勝沼のブドウ農家の生活を常に考え、地域に寄り添う人でもありました。あるとき、ワイナリーの前で、麦わら帽子を被り、普段着姿で三澤一雄が草むしりをしていると、お客様が「おじさん、暑いね」などと声をかけていたこともありました。3代目社主が亡くなった後も品格を持ち、優美なワインを目指すGraceの精神は生き続けています。
1961年には、作家・山本周五郎氏の随筆集『暗がりの弁当』で当ワイナリーのワイン(現在の『周五郎のヴァン』)が国内で見出した逸品として紹介されました

4代目社主となった三澤茂計は東京工業大学で応用化学を学んだ後、三菱商事に勤めていましたが、農村問題への思いが断ち切れず、1982年に家業へ戻ります。1987年、勝沼町内の若手醸造家12社からなるワイナリーズクラブを結成し、初代の事務局長となった茂計は、「甲州と心中してください」と仲間たちに告げたと言います。
1989年にオーナーとなった茂計は、醸造家としても、甲州の産地別仕込みを初めて行い、その中でも特に優れた畑から「グレイス甲州菱山畑」「グレイス甲州鳥居平畑」を生み出しました。一文字短梢栽培や実生栽培などを行い、甲州の可能性を追求し続ける中で、シャルドネやメルロといったインターナショナルな品種でも、フラッグシップワイン「キュヴェ三澤」を誕生させました。

2002年、日照時間日本一の町として知られる北杜市明野町に三澤農場を開園し、2014年には、「キュヴェ三澤明野甲州2013」が世界最大のワインコンクール“Decanter World Wine Awards”にて日本ワイン初の金賞を受賞しました。国内外の方々より祝福されながら、世界の舞台に立った甲州が、まばゆいばかりに輝いて見えたことを思い出します。
その後、グレイスワインの甲州は、6年連続で金賞を受賞し、世界の扉を開きました。

グレイスワインは、日本のリーディングワイナリーとして、日本ワイン産業発展の一翼を担ってまいりました。
2009年には山梨のワイナリー15社による“Koshu of Japan”を設立、4代目社主が委員長となり、甲州の品質向上と産地形成、適切なマーケットプレイスの獲得を目標に、世界のワイン市場の中心であるロンドンにてプロモーションを行っています。
2017年には、「グレイス茅ヶ岳甲州」がポストブレグジットのワインとして、イギリスのガーディアン紙に選出されました。日本ワインの確固たる位置を得るため、これからもひたすら努めてまいります。

現場では、三澤茂計の長女である三澤彩奈が、ボルドー大学醸造学部、南アフリカのステレンボッシュ大学院で学び、帰国後、2008年より栽培醸造責任者を務めています。

現在は、すべてのワインコンクールから卒業し、グレイスワインのエレガントな味わいを守り、愛する山梨の風土をワインに表現するため、次なるステップに向けて挑戦を重ねています。

*第108代ニューヨーク市長であるマイケル・ブルームバーグによって設立された、アメリカ合衆国の大手総合情報サービス会社
1923年 | 初代 三澤長太郎が勝沼町で創業 「長太郎印葡萄酒」発売 |
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1953年 | 三代目 三澤一雄が中央葡萄酒株式会社を設立。 現在の土台を築くワインブランド「GRACE」が誕生 |
1961年 | 作家・山本周五郎氏の随筆集『暗がりの弁当』で当社製品の一つを国内で見出した逸品と紹介 (現在のフォーティファイドワイン「周五郎のヴァン」) |
1962年 | フランス海軍への納入開始 |
1980年 | 本格的エージングセラー(200坪)の完成 |
1983年 | 国内初の原産地認証ワイン(勝沼町原産地認証ワイン) 第1号ワインを醸造 |
1987年 | 勝沼町内の若手醸造家12社からなる勝沼ワイナリーズクラブを結成 |
1989年 | 四代目 三澤茂計が社長に就任 良い食品づくりの会入会 |
1992年 | 甲州 垣根栽培の試験を開始 |
1996年 | 勝沼町鳥居平地区に自社管理農園の開園 |
1998年 | 国内初のワインコンペティション「ジャパン インターナショナル ワインチャレンジ」が開催 「甲州・樽貯蔵 1997」が最優秀国産白ワイントロフィーを受賞 |
2000年 | 英国「フィナンシャル・タイムズ」紙に、日本のオリジナリティを持つワインとして「グレイス甲州」が紹介される ワインのバイブルと言われる「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」(第5版)に「グレイス甲州」が日本を代表するワインとして紹介される |
2002年 | 山梨県 明野に自社管理の三澤農場を開園(8.6ヘクタール) |
2004年 | ロバート・パーカーJr.氏が来訪 甲州ワインをテイスティング ボルドー大学 デュボルデュー教授の指導による甲州を醸造 |
2005年 | 明野・三澤農場にて甲州の垣根式栽培に再び挑戦 |
2007年 | 「ニューズウィーク」誌の特集「世界が注目する日本の中小企業100社」に取り上げられる。 |
2008年 | 漫画『神の雫(講談社)』にて「グレイス シャルドネ 2007」が紹介される |
2009年 | 甲州の垣根式栽培を本格開始 |
2010年 | 甲州EU輸出プロジェクト「Koshu Of Japan(KOJ)」 ロンドンで第1回ワインテイスティングを開始 甲州が O.I.V.(国際ブドウ・ワイン機構) に品種登録 英国への輸出を開始 豪州・グルメトラベラー(Gourmet Traveller)誌で「グレイス シャルドネ 2008」が「ベストバイワイン(Best Buy Wines)」に選ばれ掲載される |
2013年 | Decanter Asia Wine Awardsにて、「グレイス グリド甲州2012」がアジア初のゴールドメダル及びリージョナルトロフィーを受賞 |
2014年 | 世界最大のワインコンクールDecanter World Wine Awardsにて、「キュヴェ三澤 明野甲州 2013」が日本ワイン初のゴールドメダル及びリージョナルトロフィーを受賞 |
2015年 | ティボー・ディスパーニュ氏とのコラボレーションワイン「ラ・ランコントル 2012」誕生 三澤農場に、樽95樽、ワインボトル6万本を熟成できるワインカーブを落成 |
2016年 | 世界最大のワインコンクールDecanter World Wine Awardsで、「グレイスエクストラブリュット」がスパークリングワインとしてアジア初のプラチナ賞・ベストアジア賞を受賞 |
2017年 | 「Grace Koshu Private Reserve 2016」がイギリスのワイン雑誌『デキャンタ』の表紙に掲載される |
2018年 | 世界最大のワインコンクールDecanter World Wine Awardsで、5年連続で受賞。 ・『グレイス甲州プライベート・リザーブ2017』金賞 ・『グレイス茅ヶ岳甲州2017』金賞 『日本のワインで奇跡を起こす 山梨のブドウ「甲州」が世界の頂点をつかむまで』を上梓 日本デザインギャラリーで、「甲州 三澤農場のワイン」展が開催 |
2019年 | 世界最大のワインコンクールDecanter World Wine Awardsで、6年連続で受賞 『グレイス甲州プライベート・リザーブ2018』金賞 Bloomberg 上に Top 10 wines of 2019 が掲載。その 10 本の一つに『Grace Blanc de Blancs 2014』が挙げられる。 |